この時期では、上下の骨の成長コントロール(促進)が必要な症例が適応されます。例えば、上の骨の大きさが小さい受け口(下顎前突)は、上顎前方牽引装置(写真1.)を用い、上あごの成長促進を行います。口の中にはリンガルアーチが装着されることが多く、夜間上顎前方牽引装置とリンガルアーチにゴムをかけて寝ていただき上あごの骨の成長促進を行います。
この時期から、永久歯が萌出してきます。骨の大きさに問題のある受け口(下顎前突)は、上顎前方牽引装置を用いながら、前歯の反対咬合の治療を行っていきます(写真3)。犬歯から臼歯が交叉していれば横方方向に拡大を行い交叉咬合の改善を行います。
この時期から、性別によりますが下あごの成長が盛んになってきます。上あごの成長が微量にありますので上顎前方牽引装置の使用を続けることがあります。骨格のタイプによりますがチンキャップ(写真4)を使用することがあります。引き続き、上下の歯の前方・側方拡大は行っていきます。
永久歯が完了しますがここから成長観察を行う時期になります。年間の身長の伸びによりますが女性は16歳ごろ、男性は18歳ごろまで成長観察を行います。この時点で反対咬合が治らないもしくは顔貌の改善を望む場合は外科的矯正治療(手術を併用する矯正治療)を選択することになります。
主訴 | 前歯のかみ合わせが反対 |
---|---|
診断名 | 骨格性Ⅲ級 前歯部反対咬合 |
初診時年齢 | 10歳2か月 |
装置名 | リンガルアーチ+前方牽引装置 |
治療期間 | 約1年経過 |
費用の目安 | 440,000円(装置代)、55,000円(検査料金)、都度の処置費用5,000円 ※価格は全て税込 |
リスク副作用 | 歯肉退縮、矯正器具装着中のカリエスリスク増大 |